
エクセルを習得する中で、ぜひ勉強して使っていただきたいのが今回紹介するマクロです。なぜならマクロを覚えるだけで作業効率が飛躍的に良くなるからです。では、マクロとは何かというところから始めていきます。
エクセルのマクロとは?
簡単に言えば、繰り返し行う同じ作業を自動化するという事です。例えば、順不同で並んだ数百の数字を10の位で四捨五入し、一番小さい数値を抽出、さらに平均値を出すという作業を30回繰り返すといった場面があったとします。
この場合、「ROUND関数を使って四捨五入し、SMALL関数を使って小さい順に並び替え、AVERAGE関数を使って平均値を出す」という作業になるかと思いますが、この一連の作業をマクロで記録しておけば、残りの29回はマクロボタン一つで作業完了となります。このように、マクロは作業効率を上げたい(楽をしたい)人には非常に役に立つ機能です。
マクロとVBAの違いは?
VBA(Visual Basic for Applications)とはMicrosoft社のプログラミング言語で、マクロで複雑な作業を自動化する際のプログラムがVBAで作られているという事です。つまり、マクロとVBAは同じようなものと考えて構いません。
マクロを有効にする方法
そもそもマクロとは先ほども書きましたが、プログラムを自動化するものであるので、悪意のあるマクロが含まれるファイルがメールやネットで配布され、それを実行するとパソコンのデータがすべて壊されてしまったり、悪意のあるアプリが勝手にインストールされてしまったという事もあり得るため、エクセルのデフォルト設定ではマクロは無効化されています。自分で作成したマクロもデフォルトのままでは作動しませんので、マクロを有効化する必要があります。
有効化する方法は、 ※エクセル2010の場合
1.[ファイル] タブをクリック。
2.[オプション] をクリック。
3. [Ribbon のユーザー設定] をクリック。
4.画面右側のタブの一覧で、[開発] を選択。
5.[OK] をクリック、[オプション] ダイアログ ボックスを閉じます。
以上の操作でエクセルのリボンに「開発」というタブが表示されますので、開発タブをクリックし、左の方にある「マクロのセキュリティ」をクリック、開いたウィンドウの「すべてのマクロを有効にする」を選択し、OKをクリックして閉じます。
ただし、「すべてのマクロを有効にする」を選択した場合、悪意のあるマクロも有効となってしまいますので、次の方法をオススメします。特定のフォルダー作成し、そのフォルダー内にあるエクセルファイルに含まれるマクロを有効にするという方法です。
※エクセル2010の場合
1.[ファイル] タブをクリック。
2.[オプション] をクリック。
3.[セキュリティセンター] をクリックし続いて画面右下の[セキュリティセンターの設定
]をクリック 4.[信頼できる場所]をクリックし続いて画面中央下の[新しい場所の追加]をクリック
5.マクロがあるエクセルファイルがあるフォルダーを指定し、[この場所のサブフォルダーも信頼する] にチェックを入れてOKで閉じます。
マクロの作成
簡単なマクロの例として、冒頭で書いたランダムな数値を10の位で四捨五入し、一番小さな数値と平均値を出すというマクロを作成してみましょう。前提として、下図のようなランダムな数値がA列にあったとします。
この数値をマクロを使って加工していきます。 1.マクロの記録ボタンをクリックします。
2.マクロの名称を入力します。説明欄にはどういったマクロかわかるように入力しておきましょう。
3.関数を入力していきます。
4.B2セルに四捨五入関数 =ROUND(A2,-2)
※-2は10の位を示します。
- B2の関数をB3からB11までコピペします。
- C2セルに小さい数字を抽出する関数 「=SMALL(A2:A11,1)」を入力します。
- D2セルに平均値を出す関数 「=AVERAGE(A2:A11)」を入力します。
5.記録終了ボタンをクリックしてマクロの記録を終了します。
ここまでの作業で下図のような表になっています。
一度セルに入力した関数を削除し、1.の状態に戻して下さい。 この状態から先ほど記録したマクロを実行してみます。 マクロボタンをクリックし、作成したマクロを実行します。
そうすると関数の入った表になっています。
マクロボタンの作成
続いて、マクロボタンをクリックし、目的のマクロを選んで実行するという作業も省略するようにマクロボタンを作成してみましょう。
1.挿入ボタンをクリックし、フォームコントロールの左上のボタンのアイコンをクリックします。
2.ボタンを作成したい任意の場所にカーソルを持っていき、ドラッグしながらボタンを作成ます。
3.マクロの登録というウィンドウが表示されますので、作成したマクロを選択してOKをクリックします。
4.下図のようになりましたね。ボタンを右クリックしてテキストの編集からボタン名を変更してみましょう。
マクロが動かない時のチェックポイント
マクロが動かない原因として、エクセルのセキュリティの設定がおかしい、マクロに記録されたVBAプログラムに不具合がある、WindowsやEXCELのアップデートによる不具合があげられます。
自分のPCでは正常に動いいているのに他のPCでは動かない場合、セキュリティの設定を見直してください。
マクロ自体に不具合がある場合はマクロボタンからステップインというボタンをクリックし不具合がないか調べていきます。それでも問題がないようであれば、アップデートによる不具合がないかネットで検索してみましょう。
まとめ
マクロはエクセルの初心者にとっては取っつきにくい機能のようですが、簡単なものから始めれば、恩恵に預かることは間違いありません。ぜひチャレンジしてみましょう。